最終更新日:2025/06/24
「病院での治療は終わったけれど、すぐに自宅での生活に戻るのは不安…」そんな高齢者の方々が、再び自宅でその人らしい生活を送れるように、リハビリテーションや必要な医療・介護を提供し、在宅復帰を支援する施設が「介護老人保健施設(老健)」です。この記事では、介護老人保健施設がどのような役 割を担い、そこで働く介護職や医療専門職がどのような仕事をするのか、そして働く上での魅力や大変な点について詳しく解説します。リハビリテーションや在宅復帰支援に深く関わりたい、多職種が連携するチーム医療・チームケアの中で専門性を高めたいと考えるあなたにとって、老健は非常にやりがいのある職場となるでしょう。この記事が、あなたのキャリア選択の一助となることを願っています。
目次
はじめに
介護老人保健施設(老健)とは?
他の介護施設との違いは?
老健で提供される主なサービス内容と職員の関わり
老健で働く主な職種と仕事内容
老健で働く魅力とやりがい
老健で働く上で大変なこと・求められること
老健でのキャリアパスとスキルアップ
まとめ
「介護老人保健施設(老健)って、特別養護老人ホーム(特養)とはどう違うの?」「病院とはどんな役割分担があるの?」「リハビリが中心って聞いたけど、介護職の役割は?」「どんな職種の人が働いているの?」老健という施設や仕事に対して、様々な疑問や関心をお持ちのことでしょう。
この記事を読めば、老健の法的な定義や介護保険制度における位置づけ、そして「在宅復帰支援」という最大の特徴について深く理解することができます。
また、他の介護施設や病院と働く環境として比較したり、老健で提供されている主なサービス内容と、そこで働く職員がどのように関わるか、そして主な職種とその具体的な仕事内容についても明確なイメージを持つことができるはずです。
さらに、老健で働くことの魅力ややりがい、大変な点、キャリアパスや求められるスキルについても詳しく解説します。
リハビリテーションを通じて利用者の機能回復を支援し、再び住み慣れた地域での生活に戻るお手伝いをすることに情熱を燃やしたい方、あるいは医師や看護師、リハビリ専門職といった多職種と緊密に連携しながらチームでケアを提供することに魅力を感じる方にとって、老健は専門性を存分に発揮できる、非常にやりがいのある職場です。
この記事が、あなたのキャリアプランを具体化し、在宅復帰支援のプロフェッショナルとしての新たなステージへ進むための確かな情報源となることを願っています。
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まず、介護老人保健施設(老健)がどのような施設であり、そこで働く職員がどのような役割を担うのか、その基本的な部分から詳しく見ていきましょう。
介護老人保健施設は、一般的に「老健(ろうけん)」という通称で呼ばれ、介護保険法に基づいて設置・運営される介護保険施設の一つです。
その多くは、医療法人や社会福祉法人によって運営されています。
老健の主な対象者は、病院での急性期治療を終え、病状が安定期に入ったものの、すぐに自宅での生活に戻るにはまだ不安がある高齢者の方々です。
これらの利用者様に対して、医学的管理のもとで看護や介護、そして集中的なリハビリテーションを提供し、心身機能の回復と日常生活動作(ADL)の向上を図り、最終的には在宅復帰を目指すことを目的としています。
つまり、そこで働く職員は、利用者様の「自宅での生活」を常に意識し、その実現に向けた支援を行うことになります。
介護老人保健施設の最も大きな役割であり目的は、利用者様の在宅復帰支援です。
そのために、職員は多職種で連携し、以下のような専門的なサービスを提供します。
まず、利用者様一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションの提供が中心となります。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職が、日常生活動作訓練や機能回復訓練を計画・実施し、介護職員も生活場面でのリハビリテーション(生活リハビリ)をサポートします。
次に、医師や看護職員による医療的ケアの提供と健康管理も重要な役割です。
病状の安定化を図りながら、必要な医療処置や服薬管理、感染症予防などを行います。
そして、日常生活を送る上で必要な介護サービスの提供も行います。
食事、入浴、排泄といった身体介護や、身の回りの整理整頓などの生活支援を通じて、利用者様の自立を促します。
さらに、利用者様が退所後も安心して在宅生活を送れるよう、ご家族に対して在宅介護に関する具体的な指導や相談支援を行うことも、老健の重要な役割の一つです。
また、地域におけるリハビリテーションの拠点として、通所リハビリテーション(デイケア)や訪問リハビリテーションといったサービスを提供し、地域の高齢者の健康維持・増進に貢献する機能も担っています。
介護老人保健施設で働くことには、いくつかの特徴的なメリットがあります。
最大の魅力は、在宅復帰という明確なゴールに向けて、利用者様の回復過程に直接関われることです。
昨日までできなかったことができるようになったり、少しずつ元気を取り戻していく姿を間近で見守り、支援できることは、大きなやりがいとなります。
また、老健では医師、看護師、介護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、支援相談員、ケアマネジャー、栄養士など、非常に多くの専門職がチームとして連携しており、その連携は非常に密接です。
日常的にカンファレンスやミーティングが行われ、それぞれの専門性を尊重し合いながら、共通の目標に向かって協力する経験は、専門職としての視野を広げ、スキルアップに繋がります。
特に、医療的な知識やリハビリテーションに関する専門的な知識・スキルが自然と身につく環境であることは、介護職や看護職にとって大きなメリットと言えるでしょう。
さらに、老健は中間施設としての役割から、比較的短期間(通常3ヶ月~6ヶ月程度)で利用者様が入れ替わることが多いため、様々な状態や疾患、生活背景を持つ多くのケースを経験できるという特徴もあります。
これにより、短期間で多様なケアスキルや対応力を磨くことができます。
一方で、介護老人保健施設で働く上では、いくつかの大変な点や留意しておきたい点もあります。
まず、在宅復帰という明確な目標があるがゆえに、時にはその目標達成へのプレッシャーを感じたり、必ずしも全ての利用者様が希望通りに在宅復帰できるわけではないという現実に直面し、難しさを感じることもあるでしょう。
また、病院から退院してきたばかりの利用者様も多いため、医療依存度が高い方が多く、容態が急変するリスクも伴います。
そのため、職員には常に的確な観察力と、緊急時の迅速な対応が求められる場面があります。
多職種連携が密であることはメリットであると同時に、それぞれの専門職の意見を尊重し、円滑なコミュニケーションを図りながらチームとして機能していくためには、高度なコミュニケーション能力と協調性が不可欠です。
時には、意見の調整に苦労することもあるかもしれません。
利用者様の入退所が頻繁であるため、新しい利用者様の情報を迅速に把握し、個別リハビリ計画やケアプランを作成・更新したり、退所に向けて関係機関との調整を行ったりと、情報共有や記録業務が煩雑になり、業務が多忙になることもあります。
さらに、リハビリテーションに対して必ずしも全ての利用者様が積極的に取り組めるわけではありません。
時には、リハビリへの意欲が低い利用者様に対して、その意欲を引き出し、モチベーションを維持するためのアプローチの難しさを感じることもあるでしょう。
介護の仕事ができる施設は老健以外にも様々あります。
それぞれの施設の特徴を理解し、自分に合った職場を選ぶことが大切です。
ここでは、働く場所としての視点から、老健と他の代表的な介護施設や医療機関との違いを見ていきましょう。
まず、特別養護老人ホーム(特養)との違いです。最も大きな違いは施設の目的です。
老健が主に「在宅復帰支援」を目的とし、リハビリテーションに力を入れているのに対し、特養は主に「生活の場」であり、終身利用を前提とした長期的なケアを提供します。
この目的の違いは、職員の役割や利用者様との関わり方に大きく影響します。
老健では、利用者様の機能回復と自立支援がケアの中心となり、退所後の生活を見据えた支援が求められます。
一方、特養では、利用者様がその人らしく穏やかに生活できるよう、長期的な視点での生活支援や看取りケアが重視されます。
また、利用者の入所期間も異なります。
老健は原則として3ヶ月から6ヶ月程度の期間限定の利用ですが、特養は終身利用が可能です。
そのため、老健では比較的短期間で多くの利用者様と関わることになり、特養ではより時間をかけて一人ひとりの利用者様と深い関係を築くことができます。
看取りケアについても、老健では在宅復帰が目標であるため、特養ほど多くはありませんが、状態によっては施設で看取るケースも皆無ではありません。
次に、病院との違いです。
最も大きな違いは、医療行為の比重です。
病院では、疾病の「治療」が最優先され、医師や看護師が中心となって医療的な介入を行います。
一方、老健では、病状が安定した方が対象であり、治療よりも「リハビリテーション」と「生活支援」による在宅復帰支援が主な目的となります。
そのため、医師や看護師の役割のウェイトも異なります。
病院では医師が治療方針を決定し、看護師が高度な医療処置を行う場面が多いですが、老健では医師は医学的管理やリハビリ計画の指示が中心となり、看護師は健康管理や日常的な医療ケア、そして介護職員やリハビリ専門職との連携がより重視されます。
老健は、まさに病院から退院した後の生活を見据えた「中間施設」としての役割が強いと言えます。
有料老人ホームは、主に民間企業によって運営され、提供されるサービス内容や費用、入居条件などが施設によって非常に多様です。
老健が介護保険法に基づく公的な施設であり、在宅復帰支援という明確な目的を持っているのに対し、有料老人ホームは、入居者のニーズに応じて、生活支援サービスから介護サービス、あるいは健康管理サービスまで、幅広い選択肢を提供している場合があります。
リハビリテーションの提供体制についても、老健では医師の指示のもと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といった専門職が配置され、集中的なリハビリが行われるのが一般的です。
一方で、有料老人ホームでは、リハビリ専門職の配置基準は必ずしも義務付けられておらず、外部サービスを利用したり、機能訓練指導員(看護師などが兼務する場合もある)による生活リハビリが中心だったりする場合もあります。
利用者層も、老健が在宅復帰を目指す方が中心であるのに対し、有料老人ホームは自立した方から要介護度の高い方まで様々です。
デイケア(通所リハビリテーション)は、利用者様が日帰りで施設に通い、リハビリテーションや入浴、食事などのサービスを受ける通所型のサービスです。
老健も通所リハビリテーション部門を併設している場合が多いですが、老健本体は入所型の施設であるという点が大きな違いです。
老健の入所サービスでは、24時間体制で医療・看護・介護・リハビリテーションが提供され、より集中的かつ継続的な支援が行われます。
一方、デイケアは、在宅で生活しながら、日中の一定時間を利用してリハビリテーションに取り組むという形になります。
職員の働き方も、老健の入所部門では夜勤を含むシフト勤務が基本ですが、デイケアでは日勤のみとなるのが一般的です。
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介護老人保健施設では、利用者様の在宅復帰という共通の目標に向けて、多職種が連携し、様々な専門的サービスを提供しています。
それぞれのサービスにおいて、職員はどのように関わっていくのでしょうか。
老健の最も特徴的なサービスが、集中的なリハビリテーションです。
医師の指示のもと、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)といったリハビリ専門職が、利用者様一人ひとりの状態や目標に合わせて個別のリハビリテーション計画を作成し、実施します。
具体的には、筋力や関節の動きを改善する運動療法、日常生活動作(食事、更衣、トイレ動作など)の練習、飲み込みやコミュニケーションの訓練などが行われます。
これらのリハビリ計画の作成や効果測定、見直しには、医師、看護師、介護職員なども参加するカンファレンスを通じて、多職種で情報を共有し、意見を出し合います。
介護職員は、専門的なリハビリテーションを直接行うわけではありませんが、リハビリ専門職と連携し、利用者様がリハビリで獲得した能力を実際の生活場面で活かせるよう、「生活リハビリ」を実践する重要な役割を担います。
例えば、食事の際に正しい姿勢を保つよう促したり、更衣の際に自分でできる部分を増やすよう声かけをしたりといった関わりが求められます。
また、福祉用具(車椅子、杖、手すりなど)の選定や利用方法について、リハビリ専門職から助言を受け、利用者様が安全かつ効果的に活用できるよう支援します。
老健では、医師が常勤または非常勤で配置され、利用者様の医学的な管理やリハビリテーション計画の指示、急変時の対応などを行います。
看護職員(看護師・准看護師)は、医師の指示のもと、日々の健康管理(バイタルサイン測定、全身状態の観察)、服薬管理、褥瘡(床ずれ)の処置、経管栄養や喀痰吸引、インスリン注射といった医療的ケア、感染症予防対策などを担当します。
介護職員は、日々のケアの中で利用者様の体調の変化(発熱、食欲不振、呼吸状態の変化など)にいち早く気づき、看護職員に的確に報告するという重要な役割があります。
また、看護職員が行う医療処置の際に、物品の準備や体位の保持といった簡単な補助を行うこともあります。
急変時には、医師や看護職員の指示に従い、迅速かつ冷静に対応することが求められます。
老健における介護サービスは、単に身の回りのお世話をするだけでなく、利用者様の「在宅復帰」と「自立支援」という視点が常に求められます。
介護職員は、食事、入浴、排泄といった身体介護において、利用者様が自分でできることは可能な限り自分で行えるよう促し、必要な部分だけをサポートするという関わり方を心がけます。
例えば、食事の際には自分で箸を使えるように工夫したり、入浴の際には安全に注意しながら自分で体を洗える部分を増やしたりといった支援です。
また、退所後の在宅生活を意識し、更衣や整容、居室の簡単な清掃といった生活支援においても、利用者様が主体的に行えるような働きかけを行います。
これらの支援を通じて、利用者様の自信回復と意欲向上を促し、在宅復帰へのスムーズな移行を目指します。
利用者様の健康状態の維持・改善や、リハビリテーションの効果を高めるためには、適切な栄養管理が不可欠です。
老健では、管理栄養士や栄養士が、利用者様一人ひとりの栄養状態のアセスメントを行い、医師や他の専門職と連携しながら栄養ケア計画を作成します。
そして、その計画に基づいて、治療食(糖尿病食、腎臓病食など)や、飲み込みやすいように工夫された嚥下調整食(きざみ食、ミキサー食、ソフト食など)の献立を作成します。
調理員は、これらの献立に従い、安全で美味しい食事を提供します。
また、在宅復帰を見据え、退所後の食事に関する不安や疑問に対して、栄養士がご家族にアドバイスを行うこともあります。
老健における相談援助業務は、主に「支援相談員」と呼ばれる専門職が担います。
支援相談員は、ソーシャルワーカーとしての役割を持ち、利用者様やそのご家族からの様々な相談(入退所に関する手続き、医療費や介護保険制度に関する相談、退所後の生活に関する不安など)に応じます。
特に、在宅復帰に向けた支援は重要な業務であり、退所後の生活環境の調整や、必要な在宅サービスの利用に向けた関係機関との連絡調整を行います。
退所前には、利用者様、ご家族、関係機関の担当者などが集まり、退所後の生活について話し合う「退所前カンファレンス」を実施し、スムーズな移行を支援します。
老健では、リハビリテーションの一環として、また利用者様の生活の質の向上や社会参加の促進を目的として、様々なレクリエーションやアクティビティが企画・実施されます。
体操、歌、手芸、園芸、季節の行事(お花見、夏祭り、クリスマス会など)といった活動を通じて、利用者様が楽しみながら心身機能の維持・向上を図れるよう支援します。
これらの活動は、介護職員やリハビリ専門職、支援相談員など、多職種が連携して企画・運営することが多く、利用者様の意欲や興味を引き出す工夫が求められます。
介護老人保健施設では、在宅復帰という共通の目標に向けて、非常に多くの専門職がそれぞれの専門性を活かし、チームとして連携して働いています。
ここでは、主な職種とその具体的な仕事内容について、より詳しく見ていきましょう。
老健には、常勤または非常勤の医師が配置されています。
医師の主な役割は、利用者様の医学的な管理、リハビリテーション計画の策定と指示、病状の変化や急変時の対応、感染症対策の指導などです。
また、多職種カンファレンスに参加し、医学的な見地から助言を行います。
看護職員は、利用者様の健康管理全般を担います。
日々のバイタルサイン測定、全身状態の観察、医師の指示に基づく服薬管理や医療処置(経管栄養、喀痰吸引、インスリン注射、褥瘡の処置など)、感染症予防対策、健康相談などが主な業務です。
また、介護職員に対して、医療的な観点からの助言や指導を行ったり、リハビリ専門職と連携してリハビリテーション中の健康管理を行ったりします。
多くの老健では、夜勤を含むシフト勤務となります。
介護職員は、利用者様の日常生活全般にわたる支援と、リハビリテーションの補助を行います。
食事、入浴、排泄といった身体介護はもちろんのこと、更衣や整容、移動の介助、レクリエーションの実施などが主な業務です。
老健における介護職員の大きな特徴は、「在宅復帰に向けた自立支援」という視点が常に求められることです。
利用者様がリハビリで獲得した能力を実際の生活場面で活かせるよう、声かけや環境設定を工夫し、できる限り自分でできるように支援します。夜勤を含むシフト勤務が一般的です。
リハビリ専門職は、老健の最も特徴的な機能を担う専門職です。
理学療法士(PT)は、主に寝返り、起き上がり、立ち上がり、歩行といった基本的な動作能力の回復・維持を目指した運動療法や物理療法を行います。
作業療法士(OT)は、食事、更衣、入浴、トイレ動作といった日常生活動作(ADL)や、家事動作、趣味活動など、その人らしい生活を送るために必要な応用的動作能力の回復・維持を目指した訓練や指導を行います。
言語聴覚士(ST)は、言葉によるコミュニケーションに障害のある方(失語症など)や、飲み込みに障害のある方(嚥下障害)に対して、専門的な評価と訓練を行います。
これらの専門職は、医師の指示のもと、利用者様一人ひとりに合わせた個別のリハビリテーション計画を作成し、実施し、その効果を定期的に評価・見直します。
また、多職種カンファレンスに積極的に参加し、他職種への専門的な助言や指導も行います。
支援相談員は、老健におけるソーシャルワーカーとしての役割を担い、利用者様やそのご家族からの様々な相談に応じます。
入退所に関する手続きや相談、医療費や介護保険制度に関する情報提供、退所後の生活に関する不安への対応、在宅復帰に向けた関係機関との連絡調整、退所前カンファレンスの開催などが主な業務です。利用者様とご家族、そして地域社会を繋ぐ重要な役割を果たします。
支援相談員として働くためには、社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格といった資格が求められることが多いです。
老健におけるケアマネジャーは、「施設ケアマネ」とも呼ばれ、入所者一人ひとりの心身の状態や希望、そして在宅復帰という目標を踏まえた「ケアプラン(施設サービス計画書)」を作成することが主な業務です。
ケアプランに基づいて、どのようなリハビリテーションや医療・看護・介護サービスを、いつ、どのように提供するかを計画し、その実施状況を定期的にモニタリング(評価・見直し)します。
多職種と連携し、チームケアを推進する中心的な役割を担います。
特に、退所後の在宅生活を支える地域のケアマネジャーとの情報共有や連携も重要な業務となります。
ケアマネジャーとして働くためには、介護支援専門員の資格が必要です。
管理栄養士や栄養士は、利用者様の栄養状態のアセスメントを行い、医師や他の専門職と連携しながら、一人ひとりの状態に合わせた栄養ケア計画を作成し、バランスの取れた献立を作成します。
調理員は、その献立に基づいて、安全で美味しい食事を提供します。
治療食や嚥下調整食への対応はもちろんのこと、在宅復帰後の食事に関する不安に対して、栄養士がご家族にアドバイスを行うこともあります。
上記以外にも、老健の円滑な運営を支えるためには、薬の管理や服薬指導を行う薬剤師、入退所の手続きや請求業務などを担当する事務員、施設内の清掃を担当する清掃員など、様々な職種の人々が働いています。
これらの職種も、間接的に利用者様の在宅復帰支援に貢献する重要な役割を担っています。
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介護老人保健施設で働くことには、他の介護施設や医療機関とは異なる、独自の魅力とやりがいがあります。
老健の最大の目的は、利用者様の在宅復帰です。
リハビリテーションや適切なケアを通じて、利用者様の身体機能が回復し、日常生活動作が向上していく過程を間近で支援できることは、大きな喜びとなります。
「家に帰りたい」という利用者様の強い思いを共有し、その目標達成に向けてチーム一丸となって取り組む中で、退所時に利用者様やご家族からいただく感謝の言葉は、何物にも代えがたいやりがいとなるでしょう。
老健では、医師、看護師、介護職員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、支援相談員、ケアマネジャー、栄養士など、非常に多くの専門職が、利用者様の在宅復帰という共通の目標に向かって緊密に連携しています。
日常的にカンファレンスやミーティングが行われ、それぞれの専門性を尊重し合いながら、活発な意見交換が行われます。
このような環境で働くことは、自身の専門性を深めるだけでなく、他の専門職から多くのことを学び、刺激を受け、チーム医療・チームケアを実践する醍醐味を味わうことができます。
老健には、病院から退院してきたばかりの医療依存度の高い利用者様も多く入所されるため、看護師や医師から直接、医療的な知識やケア技術を学ぶ機会が多くあります。
また、リハビリ専門職と日常的に連携する中で、リハビリテーションの基本的な考え方や具体的なアプローチ方法、福祉用具の活用法などを学ぶことができ、介護職であってもリハビリの視点を持ったケアを実践するスキルが向上します。
これらの経験は、自身の専門性を高める上で非常に貴重なものとなるでしょう。
老健は、原則として3ヶ月から6ヶ月程度の期間限定の利用となるため、比較的短期間で多くの利用者様の入退所に関わることになります。
これにより、様々な疾患や障害、生活背景を持つ多様なケースを経験する機会に恵まれます。
一つ一つのケースから学びを得ることで、短期間で幅広いケアスキルや対応力を磨き、専門職としての経験値を高めることができます。
老健は、急性期医療を提供する病院と、生活の場である在宅との「中間施設」としての重要な役割を担っています。
医療的な管理が必要な状態から、在宅での生活に適応していくための移行期間を支援するという、まさに介護と医療の橋渡し役です。
このような環境で働くことは、医療と介護の両方の視点を理解し、利用者様にとって真に必要な支援を見極める力を養うことに繋がります。
老健での仕事は大きなやりがいがある一方で、その特性からくる大変さや、働く上で求められることもあります。
老健の最大の目標は在宅復帰ですが、必ずしも全ての利用者様がスムーズに、あるいは完全に機能回復して在宅復帰できるわけではありません。
利用者様の状態や意欲、ご家族の受け入れ体制、地域の在宅サービスの整備状況など、様々な要因が影響します。
時には、目標達成の難しさに直面し、プレッシャーを感じることもあるでしょう。
病院から退院直後の利用者様も多いため、医療的な管理が必要な方や、容態が不安定な方も少なくありません。
そのため、日々の健康状態の的確な観察や、急変時の迅速な対応が求められる場面があり、精神的な緊張感を伴うこともあります。
医療的な知識や判断力、そして冷静な対応力が不可欠です。
多職種連携は老健の強みですが、それぞれの専門職の意見や視点を尊重しつつ、利用者様にとって最善のケアを提供するためには、高度なコミュニケーション能力と調整能力が求められます。
日々の情報共有を徹底し、記録を正確に残すことも非常に重要です。
時には、意見の対立が生じることもあり、それを乗り越えてチームとして機能していくための努力が必要です。
利用者様の入退所が比較的頻繁であるため、常に新しい利用者様の情報を把握し、個別リハビリ計画やケアプランを作成・更新したり、退所に向けて関係機関との調整を行ったりと、業務が流動的で多忙になりやすい傾向があります。
限られた時間の中で、多くの業務を効率的にこなすための計画性や優先順位付けのスキルが求められます。
在宅復帰という目標を達成するためには、利用者様ご自身のリハビリテーションへの意欲が非常に重要です。
しかし、病気や障害の影響、あるいは精神的な落ち込みなどから、リハビリへの意欲が低い利用者様もいらっしゃいます。
そのような方々に対して、根気強く関わり、意欲を引き出し、モチベーションを維持するためのアプローチの難しさを感じることもあるでしょう。
介護・福祉業界でご就業中の皆様今の年収、 今の働き方に満足してますか?あなたの理想の職場を
転職のプロが実現
介護老人保健施設で働くことは、介護職や医療専門職としてのキャリアを築き、専門性を高めていく上で、多くの可能性があります。
老健での経験は、それぞれの専門職としてのスキルを磨き、専門性を深める絶好の機会となります。
例えば、看護師であれば老年看護やリハビリテーション看護、介護福祉士であればリハビリテーション視点を取り入れた介護技術や認知症ケア、理学療法士であれば運動器リハビリテーションや脳血管疾患リハビリテーションなど、特定の分野における専門性を高めることができます。
学会発表や研修参加を通じて、認定看護師や認定理学療法士、認定介護福祉士といった上位資格の取得を目指すことも可能です。
経験を積み、リーダーシップやマネジメント能力が認められれば、各専門職の部門の主任(看護主任、介護主任、リハビリテーション科長など)や、施設全体の運営を担う施設長、事務長といった管理職・リーダーとしての役割を担うキャリアパスが開かれます。
老健での在宅復帰支援の経験は、訪問看護ステーションの看護師、訪問リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、あるいは居宅介護支援事業所のケアマネジャー(介護支援専門員)といった、在宅分野の専門職へとキャリアチェンジする際にも大いに活かすことができます。
在宅での生活を見据えた支援の視点や、多職種連携の経験は、どの分野でも役立つでしょう。
老健で培った医療と介護の連携スキルや、リハビリテーションに関する知識・技術は、病院の回復期リハビリテーション病棟や療養型病床、あるいは特別養護老人ホームや有料老人ホームといった他の介護施設へ転職する際にも、大きな強みとなります。
多様な選択肢の中から、自身のキャリアプランに合った職場を選ぶことができるでしょう。
この記事では、「介護老人保健施設(老健)とは?」というテーマで、求職者の方々が知りたい仕事内容や役割、働く魅力について詳しく解説してきました。
老健は、利用者様の「在宅復帰」という明確な目標に向けて、医師、看護師、介護職員、リハビリ専門職、支援相談員、ケアマネジャー、栄養士など、非常に多くの専門職がチームとして連携し、集中的なリハビリテーションや必要な医療・介護を提供する、やりがいに満ちた施設です。
医療と介護の両方の知識・スキルを深め、チーム医療・チームケアを実践しながら、利用者様の回復を支援し、再び地域での生活に戻る喜びを共有できることは、老健で働く大きな魅力と言えるでしょう。
この記事が、介護老人保健施設での仕事に興味を持つあなたの理解を深め、新たなキャリアへの挑戦を力強く後押しし、在宅復帰支援のプロフェッショナルとしての道を歩み始めるきっかけとなれば幸いです。
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