小規模多機能型居宅介護とは?仕事内容・役割・働く魅力を徹底解説!

施設・サービス

最終更新日:2025/07/07

小規模多機能型居宅介護とは?仕事内容・役割・働く魅力を徹底解説!

「住み慣れた自宅で、できる限り長く暮らしたい」そう願う高齢者の方々が増える中で、その願いを柔軟かつ包括的にサポートする介護サービスとして注目されているのが「小規模多機能型居宅介護」です。この記事では、小規模多機能型居宅介護がどのようなサービスであり、そこで働く介護職やその他の専門職がどのような役割を担い、どのような仕事をするのかを詳しく解説します。他の介護サービスとの違いや、小規模多機能型居宅介護で働く上での魅力、やりがい、そして大変な点や求められるスキル、さらにはキャリアパスについても掘り下げていきます。「通い」「泊まり」「訪問」という3つのサービスを一体的に提供し、利用者様の「いつもの暮らし」を地域で支える仕事に興味のあるあなたの、職場選びの一助となる情報をお届けします。

目次

  • はじめに

  • 小規模多機能型居宅介護とは?

  • 他の介護サービスとの違いは?

  • 小規模多機能型居宅介護で提供される3つのサービスと職員の関わり

  • 小規模多機能型居宅介護で働く主な職種と仕事内容

  • 小規模多機能型居宅介護で働く魅力とやりがい

  • 小規模多機能型居宅介護で働く上で大変なこと・求められること

  • 小規模多機能型居宅介護でのキャリアパスとスキルアップ

  • まとめ

はじめに

「小規模多機能型居宅介護って、具体的にどんなことをする場所なの?」「デイサービスやショートステイ、訪問介護と何が違うの?」「一つの事業所で色々なサービスに関われるって本当?」「どんなスキルが求められるんだろう?」小規模多機能型居宅介護というサービスや仕事に対して、様々な疑問や関心をお持ちのことでしょう。

この記事を読めば、小規模多機能型居宅介護の法的な定義や地域密着型サービスとしての位置づけ、そして「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスを柔軟に組み合わせるという大きな特徴について深く理解することができます。

また、他の介護サービスと働く環境として比較したり、小規模多機能型居宅介護で提供されている主なサービス内容と、そこで働く職員がどのように利用者様と関わるか、そして主な職種とその具体的な仕事内容についても明確なイメージを持つことができるはずです。

さらに、小規模多機能型居宅介護で働くことの魅力ややりがい、大変な点、キャリアパスや求められるスキルについても詳しく解説します。

多様なサービス形態を通じて、利用者様一人ひとりの状態やニーズに合わせた包括的な支援を提供したいと考える介護職の方や、地域に根ざし、顔なじみの関係の中で温かいケアを提供したいと願う方にとって、小規模多機能型居宅介護は非常にやりがいのある、そして多くの学びを得られる職場です。

この記事が、あなたのキャリアプランを具体化し、地域包括ケアの担い手としての新たなステージへ進むための確かな情報源となることを願っています。

介護・福祉業界でご就業中の皆様今の年収、 今の働き方に満足してますか?あなたの理想の職場を
転職のプロが実現

ケアともで転職の相談をする

小規模多機能型居宅介護とは?

まず、小規模多機能型居宅介護がどのようなサービスであり、そこで働く職員がどのような役割を担うのか、その基本的な部分から詳しく見ていきましょう。

小規模多機能型居宅介護の定義と法的根拠

小規模多機能型居宅介護は、介護保険法に基づいて提供される「地域密着型サービス」の一つです。

その名の通り、比較的小規模な事業所(登録定員29名以下)が、地域に住む高齢者の方々を対象にサービスを提供します。


最大の特徴は、利用者様の状態や希望に応じて、事業所の職員が「通い」を中心に、「泊まり」や「訪問」の3つのサービスを柔軟に組み合わせて一体的に提供する点です。

これにより、利用者様は環境の変化を最小限に抑えながら、馴染みのスタッフから継続的なケアを受けることができます。

原則として、事業所が所在する市町村の住民の方が利用対象となる、まさに地域に根ざしたサービスです。

小規模多機能型居宅介護の主な役割と目的

小規模多機能型居宅介護の最も大きな役割は、利用者様が可能な限り住み慣れた自宅や地域で、自立した日常生活を継続できるよう支援することです。

そのために、職員は以下のような専門的な関わり方が求められます。


まず、24時間365日体制で、利用者様やご家族に「安心」を提供します。

通い」で日中の活動を支援し、「泊まり」で夜間の安心を確保し、「訪問」で自宅での生活をサポートすることで、切れ目のないケアを実現します。


次に、常に同じ事業所の馴染みのスタッフが様々な場面で関わることで、利用者様との間に深い信頼関係を築き、継続的で柔軟なケアを提供します。

これにより、利用者様は安心してサービスを利用でき、精神的な安定にも繋がります。


また、日中の「通い」サービスを中心に、他の利用者様や地域住民との交流の機会を提供することで、社会的孤立感の解消を図り、地域社会とのつながりを維持することも重要な役割です。


そして、これらのサービスを柔軟に組み合わせることで、介護を行っているご家族の身体的・精神的な介護負担を軽減し、在宅介護の継続をサポートします。

認知症の症状がある方に対しても、その方の状態に合わせた個別的なケアを提供し、穏やかに過ごせるような環境づくりを心掛けます。

なお、医療的ケアのニーズが高い方や、より専門的な看護サービスが必要な場合は、「看護小規模多機能型居宅介護」という別のサービス類型があります。

小規模多機能型居宅介護で働く上での一般的な特徴(メリット)

小規模多機能型居宅介護で働くことには、いくつかの特徴的なメリットがあります。


最大の魅力は、「通い」「泊まり」「訪問」という3つの異なるサービス形態を、一つの事業所で経験できることです。

これにより、施設ケア、在宅ケア、宿泊ケアといった多様な場面での介護スキルや対応力を総合的に身につけることができます。


また、利用者様一人ひとりと、日中の活動から夜間の見守り、そして自宅での生活支援まで、様々な側面から深く、継続的に関わることができるため、その方の生活全体を理解し、より個別性の高いケアを提供しやすい環境です。

馴染みの関係性を築きやすいことも大きな特徴です。


そして、多くの事業所が比較的小規模であるため、職員同士の顔が見えやすく、アットホームな雰囲気の中で働くことができる場合が多いです。

チームワークを重視し、互いに協力し合いながらケアを進めていくことが求められます。


さらに、利用者様の状態やニーズ、ご家族の状況に合わせて、ケアプラン(多くは事業所内の計画作成担当者が作成)に基づいて提供するサービス内容や頻度を柔軟に変更していくため、画一的ではない、その人らしいケアの実践に深く関わることができます。


地域密着型サービスであるため、地域の行事に参加したり、地域のボランティアと連携したりするなど、地域との繋がりを強く意識したケアに関われることも魅力の一つです。

小規模多機能型居宅介護で働く上での一般的な特徴(大変な点・留意点)

一方で、小規模多機能型居宅介護で働く上では、いくつかの大変な点や留意しておきたい点もあります。


まず、3つの異なるサービス形態に対応するため、職員には介護に関する幅広い知識と、それぞれのサービス提供に必要な多様なスキルが求められます。

常に新しいことを学び、柔軟に対応していく姿勢が必要です。


また、比較的小規模な事業所が多く、職員数も限られているため、一人ひとりの職員が担う業務範囲が広く、責任も大きくなる傾向があります。

介護業務だけでなく、送迎や調理、清掃、記録作成など、多岐にわたる業務をこなす必要があります。


24時間365日のサービス提供体制であるため、夜勤や、場合によってはオンコール対応(緊急時に出勤する体制)が発生することがあります。

不規則な勤務になる可能性も考慮しておく必要があります。

利用者様の状態は日々変化するため、その変化にいち早く気づき、迅速かつ柔軟に対応する能力が求められます。

特に、在宅生活を送る利用者様の場合、予期せぬ状況が発生することもあります。


そして、小規模多機能型居宅介護では、ケアプランの作成も事業所内の計画作成担当者(ケアマネジャー)が行うため、介護職員は計画作成担当者や看護職員といった他の専門職と常に密接に連携し、情報を共有し、一貫したケアを提供することが不可欠です。

他の介護サービスとの違いは?

小規模多機能型居宅介護の「通い」「泊まり」「訪問」を一体的に提供するという特徴は、他の個別の介護サービスと働く上でどのような違いを生むのでしょうか。

デイサービス(通所介護)との違い

まず、デイサービス(通所介護)との違いです。

デイサービスは、日中に利用者様が施設へ通い、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを受ける「通所」に特化したサービスです。

一方、小規模多機能型居宅介護は、「通い」の機能も持ちますが、それに加えて「泊まり」や「訪問」のサービスも同じ事業所の馴染みのスタッフから受けることができます。

そのため、職員の業務内容も異なります。

デイサービスの職員は主に日中の活動支援が中心ですが、小規模多機能型居宅介護の職員は、日中のケアに加えて、夜間の宿泊時の見守りや介助、あるいは利用者様のご自宅へ訪問してのケアなど、より幅広い場面での対応が求められます。

ショートステイ(短期入所生活介護)との違い

次に、ショートステイ(短期入所生活介護)との違いです。

ショートステイは、利用者様が短期間施設に宿泊し、日常生活上の支援や介護を受ける「泊まり」に特化したサービスです。

小規模多機能型居宅介護にも「泊まり」の機能がありますが、これは「通い」のサービスを利用している方が、必要に応じて同じ事業所に宿泊するという形が基本です。


サービスの柔軟性にも違いがあります。

ショートステイは、事前に利用日数などを計画して利用するのが一般的ですが、小規模多機能型居宅介護の「泊まり」は、利用者様やご家族の状況に合わせて、より柔軟に利用できる場合があります。

また、常に同じ事業所の馴染みのスタッフが対応するため、利用者様にとっては安心感が大きいというメリットがあります。

訪問介護(ホームヘルプ)との違い

訪問介護(ホームヘルプ)は、介護職員が利用者様のご自宅を訪問し、1対1で身体介護や生活援助を行うサービスです。

小規模多機能型居宅介護にも「訪問」の機能がありますが、その提供の仕方に違いがあります。


訪問介護では、基本的に利用者様のご自宅が主なサービス提供の場となりますが、小規模多機能型居宅介護では、事業所という「拠点」があり、そこでの「通い」や「泊まり」のサービスと連携しながら、必要に応じて「訪問」サービスが提供されます。

また、小規模多機能型居宅介護の「訪問」は、身体介護や生活援助だけでなく、安否確認や服薬支援といった短時間の訪問も柔軟に行われることがあります。


働き方としても、訪問介護では基本的に一人で利用者様と向き合いますが、小規模多機能型居宅介護では、他の職員とチームとして情報を共有しながらケアにあたることができます。

特別養護老人ホーム(特養)などの入所施設との違い

特別養護老人ホーム(特養)などの入所施設は、利用者様が24時間365日生活する「住まいの場」であり、包括的な介護サービスが提供されます。

一方、小規模多機能型居宅介護は、あくまで在宅生活の継続を支援するためのサービスであり、利用者様は基本的には自宅で生活し、必要に応じて「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを利用します。

利用者の登録制度も異なります。

小規模多機能型居宅介護は、1つの事業所に登録できる利用者様の数に上限(通常29名以下)があり、登録した利用者様に対して柔軟にサービスを提供します。

これにより、より顔なじみの関係を築きやすいという特徴があります。

看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)との違い

小規模多機能型居宅介護と非常によく似たサービスに、「看護小規模多機能型居宅介護(通称:看多機、かんたき)」があります。

これは、小規模多機能型居宅介護の「通い」「泊まり」「訪問(介護)」のサービスに加えて、事業所の看護師などが提供する「訪問看護」のサービスも一体的に利用できるものです。


そのため、看護小規模多機能型居宅介護は、医療的ケアのニーズが高い方(例えば、経管栄養、喀痰吸引、インスリン注射、褥瘡の処置などが必要な方)や、退院直後で医療的な管理が必要な方などが主な対象となります。

職員の構成も、看護職員の配置がより手厚くなっています。

介護・福祉業界でご就業中の皆様今の年収、 今の働き方に満足してますか?あなたの理想の職場を
転職のプロが実現

ケアともで転職の相談をする

小規模多機能型居宅介護で提供される3つのサービスと職員の関わり

小規模多機能型居宅介護の最大の特徴である「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスは、利用者様の状態や希望に応じて柔軟に組み合わせて提供されます。

それぞれのサービスにおいて、職員はどのように関わっていくのでしょうか。

「通い」サービス(デイサービス的機能)と職員の役割

「通い」サービスは、小規模多機能型居宅介護の中心となるサービスで、デイサービスのような機能を持っています。

利用者様は、日中に事業所へ通い、他の利用者様や職員と交流しながら、様々な活動に参加します。


職員の役割は、まず利用者様のご自宅と事業所間の送迎です。

安全運転はもちろんのこと、乗降の際の介助や、ご家族とのコミュニケーションも重要です。

事業所に到着後は、健康チェック(バイタルサイン測定、体調確認)を行い、その日の活動に無理なく参加できるかを確認します。


そして、必要に応じて入浴介助、食事介助、排泄介助といった日常生活上の支援を行います。

また、心身機能の維持・向上を目的とした機能訓練(体操や個別訓練など)や、楽しみや生きがいを引き出すためのレクリエーション活動(歌、手芸、園芸、ゲームなど)、季節の行事などを企画・実施します。

介護職員がこれらのサービスの中心的な担い手となり、利用者様が日中の時間を安全かつ有意義に過ごせるようサポートします。

「泊まり」サービス(ショートステイ的機能)と職員の役割

「泊まり」サービスは、利用者様の状態やご家族の状況(例えば、介護者の病気や休息、冠婚葬祭など)に応じて、事業所に宿泊することができるサービスで、ショートステイのような機能を持っています。


職員の役割は、利用者様が安心して夜間を過ごせるよう、夜間の見守り、排泄介助、就寝・起床介助、そして緊急時の対応などです。

日中の「通い」と同じ事業所で、馴染みのスタッフが対応するため、利用者様にとっては環境の変化によるストレスが少なく、安心して宿泊できるというメリットがあります。


主に介護職員が夜勤を担当し、利用者様の安全と安眠を確保しながら、必要なケアを提供します。

「訪問」サービス(ホームヘルプ的機能)と職員の役割

「訪問」サービスは、利用者様のご自宅を職員が訪問し、必要なケアを提供するもので、ホームヘルプのような機能を持っています。


職員の役割は、利用者様の状態やニーズに合わせて、身体介護(食事、入浴、排泄、更衣、体位変換などの介助)、生活援助(調理、掃除、洗濯、買い物代行など)、あるいは安否確認や服薬支援、話し相手といった短時間の訪問など、多岐にわたります。


「通い」や「泊まり」のサービスを利用している方が、一時的に体調を崩して通所が難しい場合や、自宅での生活に少し不安がある場合などに、柔軟に訪問サービスが提供されることがあります。

主に介護職員が訪問し、利用者様の自宅での生活を個別にサポートします。

3つのサービスの柔軟な組み合わせと職員の連携

小規模多機能型居宅介護の最大の強みは、これらの「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスを、利用者様の状態や希望、ご家族の状況に合わせて、ケアマネジャー(計画作成担当者)が柔軟にプランニングし、一体的に提供できることです。

例えば、「普段は週に3回通いを利用しているけれど、今週は家族が旅行で不在なので、3日間泊まりを利用したい」「体調が悪くて通えない日は、訪問に来て様子を見てほしい」といった要望にも、臨機応応に対応することが可能です。


そのため、職員には、それぞれのサービスを提供するスキルだけでなく、利用者様の情報を「通い」「泊まり」「訪問」の各サービス間で常に密に共有し、一貫したケアを提供するための高い連携能力が求められます。

ケアプラン作成(計画作成担当者の役割)

小規模多機能型居宅介護では、利用者様一人ひとりのケアプラン(居宅サービス計画書及び各サービスごとの個別サービス計画書)を、事業所に所属するケアマネジャー(計画作成担当者)が一貫して作成・管理します。

これは、外部の居宅介護支援事業所のケアマネジャーがプランを作成する他の多くの在宅サービスとは異なる大きな特徴です。


計画作成担当者は、利用者様やご家族との面談を通じて詳細なアセスメントを行い、その方のニーズや目標に合った「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを組み合わせたケアプランを作成します。

そして、定期的にモニタリングを行い、利用者様の状態変化や新たな要望に応じて、迅速かつ柔軟にプランを見直します。

介護職員や看護職員といった他の職員は、日々のケアの中で得られた利用者様の情報を計画作成担当者に的確に伝え、プランの作成や見直しに積極的に関与することが求められます。

小規模多機能型居宅介護で働く主な職種と仕事内容

小規模多機能型居宅介護事業所では、利用者様に「通い」「泊まり」「訪問」の3つのサービスを一体的に提供するために、様々な専門職がそれぞれの役割を担いながら連携して働いています。

介護職員(ケアスタッフ、介護士)

介護職員は、小規模多機能型居宅介護におけるケアの中心的な存在であり、「通い」「泊まり」「訪問」の全てのサービスに深く関わります。


通い」の場面では、利用者様の送迎、健康チェックの補助、入浴介助、食事介助、排泄介助といった日常生活上の支援や、レクリエーション活動の企画・実施、機能訓練の補助などを行います。


泊まり」の場面では、夜間の見守りや巡回、排泄介助、就寝・起床介助、緊急時の対応などを担当します。

訪問」の場面では、利用者様のご自宅を訪問し、身体介護(食事、入浴、排泄などの介助)や生活援助(調理、掃除、洗濯、買い物など)、安否確認、服薬支援など、個別のニーズに合わせたケアを提供します。

このように、介護職員の業務は非常に多岐にわたり、それぞれのサービス場面に応じた知識とスキル、そして柔軟な対応力が求められます。

利用者様の様子の観察や記録、他の職員への申し送りも重要な仕事です。

夜勤業務も発生します。

看護職員(看護師・准看護師)

看護職員は、利用者様の健康管理全般を専門的に担います。

主な業務としては、日々のバイタルサイン測定や全身状態の観察、医師の指示に基づく服薬管理や医療処置(経管栄養、インスリン注射、褥瘡の処置など、事業所の体制や利用者の状態による)、感染症予防対策、健康相談などがあります。

また、体調が急変した利用者様への初期対応や、協力医療機関との連携も重要な役割です。


特に、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)の場合は、事業所の看護師などが利用者様の自宅を訪問し、主治医の指示に基づいて点滴やカテーテル管理といった専門的な訪問看護サービスも提供するため、看護職員の役割はさらに大きくなります。


介護職員に対して、医療的な観点からの助言や指導を行うこともあります。

計画作成担当者(ケアマネジャー)

計画作成担当者は、小規模多機能型居宅介護事業所に所属するケアマネジャー(介護支援専門員)であり、利用者様一人ひとりのアセスメント(課題分析)を行い、その方のニーズや希望、生活環境などを踏まえて、「通い」「泊まり」「訪問」のサービスを組み合わせたケアプラン(居宅サービス計画書及び各サービスごとの個別サービス計画書)を作成します。

また、定期的にサービス担当者会議を開催し、利用者様やご家族、他のサービス提供職員などと情報を共有し、意見交換を行いながら、プランの実施状況をモニタリングし、必要に応じて見直しを行います。

地域の医療機関や他の福祉サービス事業者、行政機関など、関係機関との連絡調整も重要な業務です。

多くの小規模多機能型居宅介護事業所では、計画作成担当者が介護職員の業務を兼務している場合もあります。

この職務に就くためには、介護支援専門員の資格が必要です。

管理者

管理者は、小規模多機能型居宅介護事業所全体の運営管理を担う責任者です。

スタッフの採用・育成、労務管理、サービスの質の管理、収支管理、利用者募集や契約管理、地域連携の推進、行政機関や関係機関との折衝など、その業務は非常に多岐にわたります。

施設の理念や方針を明確にし、質の高いサービス提供体制を構築するためのリーダーシップが求められます。

小規模な事業所が多いため、管理者が計画作成担当者や介護職員などの他の職種と兼務している場合も多く見られます。

その他

上記以外にも、小規模多機能型居宅介護事業所の円滑な運営を支えるためには、食事提供サービスがある場合は栄養士や調理スタッフ、電話対応や来客対応、請求業務などを担当する事務員、送迎業務を専門に行う運転手といった職種の人々が働いている場合があります。

これらの職種も、間接的に利用者様の快適な利用と事業所の円滑な運営を支える重要な役割を担っています。

介護・福祉業界でご就業中の皆様今の年収、 今の働き方に満足してますか?あなたの理想の職場を
転職のプロが実現

ケアともで転職の相談をする

小規模多機能型居宅介護で働く魅力とやりがい

小規模多機能型居宅介護で働くことには、介護職として多くの魅力と、他では得難い大きなやりがいがあります。

「通い・泊まり・訪問」の多様なサービスを経験し、スキルアップできる

小規模多機能型居宅介護の最大の魅力は、一つの事業所で「通い」「泊まり」「訪問」という3つの異なるサービス形態を経験できることです。

これにより、施設での集団ケア、宿泊時の夜間ケア、そして利用者様の自宅での個別ケアといった、多様な場面での介護スキルや対応力を総合的に身につけることができます。

介護のジェネラリストとしての能力を磨きたいと考える方にとっては、非常に恵まれた環境と言えるでしょう。

利用者一人ひとりと継続的で深い関係を築ける

小規模多機能型居宅介護では、基本的に同じ事業所の馴染みのスタッフが、利用者様の様々な生活場面(通い、泊まり、訪問)で継続的に関わります。

そのため、利用者様一人ひとりの個性や生活歴、価値観、そして日々の小さな変化などを深く理解し、その方に本当に合ったきめ細やかなケアを提供しやすい環境です。

利用者様やご家族との間に、長期的な視点での深い信頼関係を築き、その人らしい生活を最期まで支えることができるのは、大きな喜びであり、やりがいとなるでしょう。

小規模ならではのアットホームな雰囲気とチームワーク

多くの小規模多機能型居宅介護事業所は、登録定員が29名以下と小規模で運営されています。

そのため、職員数も比較的少なく、職員同士の顔が見えやすく、コミュニケーションが取りやすいアットホームな雰囲気の中で働くことができる場合が多いです。

困ったことがあればすぐに相談できたり、互いの得意なことを活かして協力し合ったりと、チームワークの良さを実感しながら、一体感を持ってケアに取り組むことができます。

利用者の状態やニーズに合わせた柔軟で個別性の高いケアを実践できる

小規模多機能型居宅介護では、利用者様のその時々の状態やニーズ、あるいはご家族の状況に合わせて、ケアプランに基づいて提供するサービス内容や頻度を柔軟に変更していくことが可能です。

画一的なサービス提供ではなく、「その方にとって今、本当に必要な支援は何か」を常に考え、臨機応変に対応する力が求められますが、それこそが専門職としての腕の見せ所であり、自分のアイデアや工夫を活かした個別性の高いケアを実践できるという大きな魅力に繋がります。

地域に根ざしたケアに貢献できる

小規模多機能型居宅介護は、地域密着型サービスとして、事業所が所在する市町村の住民の方々を主な対象としています。

そのため、地域の行事に参加したり、地域のボランティアの方々と連携したり、近隣の医療機関や福祉サービス事業者と協力したりと、地域との繋がりを強く意識したケアを実践することができます。

住み慣れた地域で、高齢者の方々が安心して暮らし続けられるよう支援することを通じて、地域福祉の向上に直接的に貢献しているという実感を得られるでしょう。

小規模多機能型居宅介護で働く上で大変なこと・求められること

小規模多機能型居宅介護での仕事は大きなやりがいがある一方で、その特性からくる大変なことや、働く上で求められることもあります。

多様なサービスに対応するための幅広い知識とスキル

「通い」「泊まり」「訪問」という3つの異なるサービス形態を一体的に提供するため、職員には、それぞれのサービス提供に必要な幅広い知識と多様なスキルが求められます。

例えば、通いサービスではレクリエーションの企画力や集団への対応力、泊まりサービスでは夜間の見守りや緊急時対応のスキル、訪問サービスでは利用者様の自宅というプライベートな空間での適切なケア提供技術など、多岐にわたります。

常に新しいことを学び、状況に応じて柔軟に対応していく姿勢が不可欠です。

少人数体制での業務と責任の大きさ

多くの小規模多機能型居宅介護事業所は、比較的少人数のスタッフで運営されています。

そのため、一人ひとりの職員が担う業務範囲が広く、介護業務だけでなく、送迎や簡単な調理、清掃、記録作成、そして時にはケアプラン作成の補助など、多岐にわたる業務をこなす必要があります。

また、特に夜勤や訪問サービス時には一人で対応する場面もあり、その判断や行動に対する責任も大きくなります。

24時間365日の対応と不規則な勤務

小規模多機能型居宅介護は、24時間365日、利用者様の生活を支えるサービスです。

そのため、職員は日勤だけでなく、早番、遅番、夜勤といった不規則なシフト勤務に対応する必要があります。

また、事業所によっては、緊急時の対応のためにオンコール体制(自宅などで待機し、連絡があれば出勤する体制)を取っている場合もあります。

自身の体調管理と、不規則な勤務への適応力が求められます。

利用者の状態変化への迅速かつ的確な対応

在宅で生活する利用者様の状態は、日々の体調や環境の変化によって、時には急に変化することがあります。

職員は、そのような利用者様の小さな変化にもいち早く気づき、その情報をチーム内で迅速に共有し、必要に応じてケアプランの見直しや医療機関との連携など、的確な対応を速やかに行う必要があります。

常にアンテナを張り、冷静な判断力と行動力が求められます。

ケアマネジメント業務との連携と理解

小規模多機能型居宅介護では、事業所内の計画作成担当者(ケアマネジャー)が利用者様のケアプランを一元的に作成・管理します。

介護職員や看護職員は、このケアプランに基づいて一貫性のあるケアを提供するために、計画作成担当者と常に密接に連携し、情報を共有し、その意図を理解して実践することが非常に重要です。

日々のケアの中で気づいたことや、利用者様の変化などを積極的に報告し、チーム全体でより良いケアを目指していく姿勢が求められます。

介護・福祉業界でご就業中の皆様今の年収、 今の働き方に満足してますか?あなたの理想の職場を
転職のプロが実現

ケアともで転職の相談をする

小規模多機能型居宅介護でのキャリアパスとスキルアップ

小規模多機能型居宅介護で働くことは、介護職としてのキャリアを築き、専門性を高めていく上で、多くの可能性があります。

介護のジェネラリストとしての専門性向上

「通い」「泊まり」「訪問」という多様なサービス形態を経験することで、施設ケア、在宅ケア、宿泊ケアといった幅広い介護スキルや対応力を総合的に身につけることができます。

様々な状況やニーズに対応できる、まさに介護の「ジェネラリスト」としての専門性が磨かれます。

これは、将来的にどの介護分野に進むにしても大きな強みとなるでしょう。

計画作成担当者(ケアマネジャー)へのステップアップ

小規模多機能型居宅介護での実務経験は、利用者様のアセスメントや多職種連携、そしてケアプランに基づいた実践という点で、ケアマネジャー(介護支援専門員)の業務と多くの共通点があります。

実務経験を積み、介護支援専門員の資格を取得することで、事業所内の計画作成担当者として、より専門的に利用者様の生活設計に関わるキャリアパスが開かれます。

管理者(ホーム長)への道

経験と実績を積み、リーダーシップやマネジメント能力が認められれば、小規模多機能型居宅介護事業所全体の運営責任者である「管理者(ホーム長)」へとステップアップすることも可能です。

スタッフの育成や労務管理、事業所の収支管理、地域連携の推進など、より幅広い業務に挑戦し、事業所運営の中核を担うことができます。

看護小規模多機能型居宅介護への挑戦

看護職員の場合、小規模多機能型居宅介護での経験を活かして、さらに医療的ケアのニーズが高い方を対象とする「看護小規模多機能型居宅介護(看多機)」で働くという選択肢もあります。

訪問看護のスキルも活かしながら、より専門性の高いケアを提供することができます。

地域包括ケアシステムに関する知識・スキルの深化

小規模多機能型居宅介護は、地域包括ケアシステムの中核を担うサービスの一つとして位置づけられています。

日々の業務を通じて、地域の医療機関や他の福祉サービス事業者、行政機関、そして地域住民との連携を深める中で、地域包括ケアシステムに関する深い知識と、それを実践するための具体的なスキルが身につきます。

これは、今後の高齢社会においてますます重要となる専門性です。

まとめ

この記事では、「小規模多機能型居宅介護とは?」というテーマで、求職者の方々が知りたい仕事内容や役割、働く魅力について詳しく解説してきました。


小規模多機能型居宅介護は、「通い」「泊まり」「訪問」という3つのサービスを、利用者様の状態やニーズに合わせて柔軟に組み合わせ、住み慣れた地域での「いつもの暮らし」を継続できるよう、24時間365日体制で包括的に支援する、地域密着型の重要なサービスです。

そこで働く専門職にとっては、多様なサービス提供の経験を通じて幅広いスキルを磨き、利用者様一人ひとりと深く、継続的に関わりながら、その人らしい生活を多角的に支えるという、大きなやりがいを感じられる職場です。

馴染みのスタッフが、利用者様の様々な生活場面で寄り添い、安心と信頼の関係の中で、柔軟かつ個別性の高いケアを提供できる小規模多機能型居宅介護の仕事は、あなたの介護への熱い想いを形にし、専門職としての成長を促す素晴らしい舞台となるでしょう。

この記事が、小規模多機能型居宅介護での仕事に興味を持つあなたの理解を深め、新たな一歩を踏み出すためのきっかけとなれば幸いです。